「強い日本」の萌芽~イオンカップ2015

イオンカップ2日目は決勝ラウンドが行われ、昨年度1~4位の、ロシア、ベラルーシ、ウクライナ、アゼルバイジャンのチームとワイルドカードのイオン、さらに予選ラウンド上位3チーム(オーストリア、ウズベキスタン、ジョージア)によるクラブ対抗戦と、同時にシニア、ジュニアの個人総合の前半2種目の演技が行われた。

 

ジュニアでは、Alina ERMOLOVA(ロシア)が、唯一2種目とも16点台をたたきだし、トップを独走中だが、日本の2選手も鮮烈な印象を残した。

ジュニアの予選2位通貨の喜田純鈴(エンジェルRGカガワ日中)は、本人も「自信をもってやれる」と言っていたフープの演技からスタート。見るたびに、技の精度はもちろんのこと、振りや表現の部分でどんどんアピール度が高まっているこの作品は、この日も隙なく15.450をマーク。

さらに、予選ではミスのあったロープも、決勝では、ほぼ完璧な演技を見せた。最後の投げうけにやや乱れがあったのが惜しまれるが、それでも15.516とAlina選手に次ぐ高い得点を獲得した。こうして海外のジュニア選手たちと並べて喜田の演技を見てみると、その難易度の高さが際立つ。とくにこのロープはすべての操作に連続性があり、投げあげたロープの受け方も難しい上に、その受ける位置も正確でなければ、次の操作につなげられないものがほとんどだ。それを、高い難度を伴いながら行っていくという、いわば「ドSな構成」。なんとかキャッチできればOK! といった妥協を許さないこの作品を、ここまでやり切れるジュニア選手は、世界にもそう多くはないだろうと思える。

得点を見れば、まだ差は大きいが、演技のインパクトではロシアの選手にも決してひけをとらない喜田のポテンシャルの高さは驚異的だ。

 

さらに、柴山瑠莉子(イオン)のフープも衝撃だった。

柴山の演技は、喜田ほどすば抜けた身体能力を見せつけるようなところはないのだが、まだジュニアにしてその表現力には卓越したものがある。しかも、柴山の表現力の非凡さは、大仰な振りや表情によるものではなく、その一つ一つの動きや手具操作までもが音楽に溶け込んでいるところにある。そして、なんといってもその演技の「威勢のよさ」。難しい操作もふんだんに取り入れているにもかかわらず、まるでなんの不安もないかのように思い切りよく動き、踊る。もちろん、決められた振り付けではあるのだが、柴山の演技は、音楽を感じて自由に踊っているように見える。この日のフープは、その持ち味が十分発揮された演技で、得点も15.716とAlina選手に次ぐハイスコアだった。

ロープでは、ややあぶないところも見受けられたが、大きなミスにはならないように対処し、演技をまとめる冷静さを見せたが、得点はやや伸びず14.133。この結果、ジュニア個人総合の暫定順位は喜田が3位、柴山が5位となった。

試合後の記者会見で、柴山は今日の演技を振り返り、「試合前はとても緊張していたが、どちらの種目も自分らしい演技ができてよかった」と語った。さらにその「自分らしさ」とは何かと問うと、「笑顔で元気よく明るく、曲にあった表現の強弱をつけられるのが自分の良さだと思う」と答えた。

まさにそのとおりの演技だった。

得点から見れば、ロープはやや残念な結果かもしれない。しかし、そのロープでさえ彼女のよさはまったく損なわれていなかった。

彼女がフロアで踊り始めると、その場がぱっと明るくなり、目がひきつけられる。この強み、持ち味は日本人選手にはなかなかなかったものだ。それでいて、操作の正確性、対処の冷静さなども持ち合わせているのだから、まだまだのびしろ十分といえる。

決勝に向けての抱負を会見で聞かれ、「ボールはピアノの『ラ・カンパネラ』でピアノの一音一音を体と動きで表現できるように、クラブはボーカルつきの明るい曲で技もたくさん入っているので、曲にのせて技を決めていけるように」と語った柴山。イオンカップ決勝、という大舞台でも、彼女はきっとその曲の世界に躊躇なく入り込んで踊る。だからこそ、彼女の演技は多くの人の心をつかむのだ。

PHOTO:Yuki SUENAGA       TEXT:Keiko SHIINA