第6回男子新体操団体選手権大会優勝「青森山田高校」
今大会は、5月という時期としては非常にレベルの高い見ごたえのある大会だった。
とくに3月の高校選抜から演技を刷新し、昨年以上の凝った構成をかなり高い精度でやりきった宮城県名取高校の演技のインパクトはすさまじいものがあった。得点も18.500とかなり高い評価で、名取の初優勝もありか? という空気になっていた。
しかし。
試技順22番。大トリで登場した青森山田高校は、盤石の演技を見せた。
高校選抜大会でも限りなく優勝に近い準優勝をおさめた演技を、あのときの同じくらいの精度でやりきった。
ここ数年の中では、昨年の山田の演技は、ごくオーソドックスな男子新体操らしい作品のように思う。
こういう作品をしっかり、強く、演じる青森山田を見ると、「本当に力あるチームなのだ(いや、力をつけたチームかもしれない)」
と感じる。たしか、昨年のインターハイ前には「史上最弱」と自虐的に言っていたはずだが、1年たらずでこの成長ぶりは!
そこには、「強い青森山田」を知っているOB達の存在が大きかったのではないか。
勝手にそんな想像をする。
昨年、コーチとして活躍していた松田陽樹、そして、この春からコーチになった谷俊太朗。
彼らは、まさに「男子新体操は青森山田が引っ張っている」時代の選手たちだった。
その後、井原や恵庭南など、青森山田とは違う個性をもったチームも台頭し、山田といえど常勝というわけにはいかなくなった。
昨年にいたっては、インターハイでミスが出て、ジャパン出場を逃すという事態にも陥った。
そこからどうやって這い上がるのか。這い上がれるのか。
危惧するむきもあったと思う。
しかし、そんな危惧を吹き飛ばした選抜での準優勝。
そして、今回の優勝。青森山田は完全復活した、と言っていいだろう。
ジュニアでの実績もある新入生も加わり、この夏にはさらにパワーアップした青森山田の演技を見ることができそうだ。
名取高校もさらに演技を極めてくるだろうし、選抜優勝の恵庭南高校も間違いなく強い。
この夏のインターハイは、かなりハイレベルな戦いになる。
そう予感させる今大会であり、青森山田の優勝だった。
PHOTO:Ayako SHIMIZU TEXT:Keiko SHIINA