2014東日本インカレ/国士館大学Aチーム(女子)

「歓び」

 

より芸術性が求めらるルールに変更されてから2シーズン目となった今年、大学生にとっての最初の公式戦である東日本インカレ初日の団体競技「クラブ10」は、じつに見ごたえのある素晴らしい演技の応酬だった。

15.750で1位となった日本女子体育大学Aは、凄みすら感じさせる同調性を見せつけ、ラストのジャンプの脚下からの4本投げに代表されるスリリングな交換や連携も満載で、8.000というダントツに高いD得点をマーク。

2位の東京女子体育大学Aは、逆にE8.000という精度の高い演技だったが、やや勢いで日女に分があったように見えた。それでも、15.200。2日目のリボン&ボール次第で十分逆転の可能性もある得点を出した。

 

しかし。

点数を超えた「なにか」を、感じさせたが3位の国士舘大学Aの演技だった。

冒頭の6本同時投げこそは、落下があったが(公式練習では見事に決まっていただけに惜しかった)、そのあとは完全に持ち直し、非常に実施もよかったし、なによりも自分たちがこの作品で描こうとしている「世界」を明確に打ち出すことのできた演技を見せたと思う。

昨年の「クラブ10」では、「屋根の上のヴァイオリン弾き」の音楽で、ミュージカルの一場面を見ているようなドラマチックな演技を見せた国士舘だが、今年の「クラブ10」の使用曲は、ジプシーキングスの「ポラーレ」。あのビールのCMでおなじみのボーカル曲だ。

 

とても気分のいい、楽しくなる曲ではあるが、昨年の作品のようなドラマ性には乏しい。

ともすれば、「きれい、楽しい」だけで終わってしまいかねない作品のようにも見える。

昨年から使用できるようになったボーカル曲は、団体でも個人でも、うまく使えば効果抜群だが、下手すれば、歌詞があるだけに音楽だけが強く響いてしまうことがある。歌詞や、ボーカルの声に負けない「意味」を感じさせるパフォーマンスをしなければ、上すべりな演技に見えてしまうことがあるのが、ボーカル曲の難しさだな、と昨シーズン、いろいろなチームの演技を見ていて感じていた。

 

ましてや、この「ポラーレ」は、気分のいい曲すぎて、楽しい踊り・・・それだけで終わってしまいかねない可能性もある。

ところが。

この日の国士舘の演技からは、しっかりと感情が伝わってきた。

彼女たちの「歓び」が、ひとつひとつの動きから、輝く笑顔から、弾むステップから伝わってきた。

「ポラーレ」では、「青く染まった空を飛ぶよ」「心はためかせて歌うよ」と高らかに「生きる歓び」を謳いあげているが、彼女たちの演技から伝わってくる「歓び」は、やはり「踊る歓び」だ。

 

どの選手もおそらく小学生のころから(あるいはもっと小さいころから)、新体操という世界で戦ってきた。

大学生のこの年齢になるまで、つらい思いをしていない選手なんていないだろう。

きっと辞めたいと思ったことも、逃げたいと思ったこともあるだろう。

 

それでも、辞めずに、彼女たちはここにいる。

ここで仲間たちと踊っている。

その歓びが、私には伝わってきた。

この日、すでに個人競技前半が終わっており、個人競技を見ながらすでに、「大学生まで新体操を続けてくること」のかけがえのなさを感じて、何度もぐっとこみ上げるものがあった。

団体競技も、国士舘Aより前に9チームの演技が終わっており、それぞれのチームの演技に、かなり感動させられた。

どの選手も、よくぞここまで! と何回も思ったこの日の競技のほぼトリに近いところで見た、という状況も相まってか、この国士舘Aの「ポラーレ」は、忘れられない演技となった。

 

生きていることは素晴らしい。

新体操は素晴らしい。

続けることは素晴らしい。

 

この演技は、私に、そう思わせてくれた。

 

PHOTO by Ayako SHIMIZU / TEXT by Keiko SHIINA