2013全日本ジュニア個人総合優勝者

●女子優勝:喜田純鈴(エンジェルRG・カガワ日中)

 フープ14.600、ボール14.300、クラブ15.050、リボン13.500 総合57.450

圧巻の初優勝だった。2日目は最終グループでの登場となった喜田。前半2種目ですでに2位に3点差をつけていた

が、2日目最初の種目となったクラブでは、「なにもそこまで?」なインパクトのある演技を見せた。

高難度の技も完璧にこなす一方で、マジックのような手具操作の連続、そして、まだ小柄な選手ながら、

フロアで踊り始めると、どこまでも大きく見える。そののびやかな動き。そのすべてが「ジュニアとしてはけた外れ」

いや、日本人としても別格と言ってもよいほどだ。その圧倒的な演技で、ついに15.050をマーク。

今大会で、喜田以外の選手での最高得点は、鈴木歩佳(NPOぎふ新体操クラブ)が、リボンでマークした

13.500。14点台にも誰も届いていなかったが、喜田だけはフープ、ボールで14点台、クラブでは15点の壁も

突破した。最終種目のリボンでこそ、1回の落下があったが、このときはすでに、5~6回落下しても優勝は

間違いないほどの点差がついており、マラソンでいえば「ひとり旅」状態の圧勝だった。

チャイルドのころから、強くなるだろうとはわかっていた選手だ。すでに全中でも優勝して、その力はすでに

聞き及んではいた。しかし、ここまで強いとは!!! 

「将来性が」とか「質の差が」と言った解説がなくても、誰の目にもその優位性がわかるジュニアチャンピオンの

登場は、これからの日本の新体操、とくに2020年東京五輪に向けてのじつに明るいニュースだ。

年齢制限の撤廃により、まだ中学1年生の喜田だが、今年から全日本選手権にも出場できる。

11月22~24日、代々木第一体育館で行われる全日本選手権には、ぜひ足を運ぶことをお勧めしたい。

「喜田純鈴のジャパン初出場を見た」、と自慢できる日が近い将来、きっと来るから。

 

●男子優勝:安藤梨友(NPOぎふ新体操クラブ)

 

スティック9.225、リング9.200、ロープ9.275、クラブ9.325 総合37.025

2日目第3グループまでの演技を終えてトップに立っていたのは、佐藤綾人(宮城キューブ新体操)。

佐藤は後半2種目で9.200(ロープ)、9.250(クラブ)と昇り調子に得点を伸ばしており、落下1つ、場外1つで大きく得点が

変わる男子新体操において、安藤といえど、大きなミスがあれば首位陥落もある? という状況が出来上がっていた。

しかし、最終グループ・クラブのトップバッターとして登場した安藤の第1タンブリングを見た瞬間、「あ、やはりこれは別格」と感じた。

おそらく審判も、観客の多くもそう思ったのではないか。この日の佐藤綾人の演技はすばらしく、タンブリングも

十分に強かった。佐藤もまた十分に超ジュニア級の演技を見せていたのだ。しかし、安藤においては、

その強さ、冷静さ、巧みさ、そして風格。そのすべてが、やはりジュニアにおいて彼を超える選手はいない、と思い知らせる

だけの演技をやってのけたのだ。とくにこのクラブは、安藤にしては珍しく、ややゆっくりとした動きも入っており、

力とスピードだけではないものも見せることに成功し、ますます演技に幅が出てきたことも感じられた。

今年は中3が豊作で、2位の佐藤、3位・森多悠愛、4位・堀孝輔、5位・佐藤嘉人、6位・中村大雅まですべてが中3だった。

安藤という最強チャンピオンと同じ年という、ある意味の逆境を糧にしてきたライバル達の追い上げもすばらしかったが、

現時点では、安藤もそれをねじふせるだけの成長をしていた、ということだろう。

3連覇、そして、ライバル達の存在。安藤とてプレッシャーが皆無だったわけではないと思う。

しかし、先輩である臼井優華もそうだったが、彼らはそのプレッシャーをはねのけ、力に変えるメンタルの強さがある。

安藤梨友の優勝は、文句なしの、見事な優勝だった。そして、ジュニアでは前人未到の3連覇達成。

すばらしいと思う。しかし、なによりもすばらしいのは、安藤の存在がこの世代の底上げに確実に寄与しているという

ことだ。高校生になってから、大学生になっても、彼らの世代が切磋琢磨する様を見続けたいものだ。

 

PHOTO by Yoshinori SAKAKIBARA(喜田)/Ayako SHIMIZU(安藤)