2013東京国体、開幕直前! ~東京選抜チームレポート①

いよいよ9月28日には、東京国体の開会式が行われる。

2020年の東京五輪開催が決定したことをうけての祝賀も兼ね、華やかで盛大な開会式になるようだ。

 

そして、新体操はその翌日、29日にはもう競技が始まる。

29日が個人、30日は団体が行われ、その総合得点で優勝が争われる。

新体操では、昨年は国体開催県であった岐阜が、5年がかりの強化策を実らせ、すばらしい勝利を勝ち取ったことが

記憶に新しいが、さて、今年の東京は?

もともと東京は新体操の強い地区だ。10年前なら、地元開催での東京チームなら演技する前から

「優勝間違いない!」だったに違いない。

だが、今回はどうだろう? 

昨年の岐阜は、数々の大会で実績を積み重ねてきたチームで国体に臨んだ。

地方で国体が開催される場合は、たいていがそうだ。何年も前から、国体に向けての強化が始まる。

しかし、今回の「東京選抜チーム」は、結成してまだ1年もたっていない。

1年前の国体に出場したチームとはメンバーが総入れ替えになっているのだ。

そのため、このチームでの大会実績がほとんどない。

それでも、メンバーが、もとの所属では全国レベルの試合を経験してきた選手達である。

さらに、コーチを務めているのが、元は日本のナショナルチームを長く率いていた五明みさ子氏。

監督は、多くの名選手をコンスタントに輩出している町田RGの代表である曽我部美佳氏だ。

それぞれの持てる力を足し算すれば、地元開催に華を添えることができる可能性は十分にある。

「実績がない」ことも、周囲のチームからすれば、「ベールに包まれている」とも言える。

いわば、ほぼぶっつけ本番で、国体を迎える東京選抜チームの、大会を目前に控えた様子を取材してきた。

 

2013年9月10日 多摩市の総合体育館で東京選抜チームが練習するという情報を得て、

行ってみたところ、国体に向けて改修工事を終えたぴかぴかの体育館の床にフロアマットを敷くべく

メンバー達は四苦八苦していた。ただでさえ、マット敷きは重労働。おまけに慣れない体育館の慣れないマットだと

勝手も違う。ほっそりした女子高校生8人でのマット敷きはなかなか骨が折れる作業のようだった。

 

しかし、このチーム、とても雰囲気が明るい。

国体を目前に控え、マット敷きに時間を費やしていることに対するいらだちなどがあまり感じられないのだ。

おそらくその「ほわん」とした雰囲気が彼女達の持ち味であり、強みではあるのだろうが、

指導者はきっと少なからず「いらだち」を禁じ得ないのではないか。

そんな風に思いながら、様子を見ていたら、曽我部監督が、「見て見て」と出してきたのが

お手製のカウントダウンカレンダー。この日は、「あと19日」となっていた。

「もう時間がないのだから」とはっぱをかけるつもりのカレンダーだったに違いない。

しかし、どちらかというと、「かわいい! おもしろい!」と見えてしまうのは、曽我部監督のもつ

天性の明るさゆえ、でもあるだろう。

 

それでも。

いざ練習に入れば、空気は一変。

そこにはぴりっとした練習風景があった。

一時期ほどの圧倒的な強さはない東京だが、基本的な部分での力は侮れないものがある。

それは、アップなどの基本運動を見ていればわかる。

そして、平均値が高い。

マット敷きの間は、明るく選手たちを笑わせていた曽我部監督も、いざ動き始めれば

容赦がない。十分美しいと思える選手たちの難度も、その甘さを指摘され、

姿勢の細かい部分にまで注意をする。

彼女のこの妥協のなさが、町田RGというチームのレベルを常に高く保ち続けてきたのだ、と

改めて思い知らされる。そして、それは、「東京選抜チーム」という、いわば預かりもののチームに

おいても同じだった。

 

2009年の世界選手権まで、日本代表チーム・フェアリージャパンを率いていた五明コーチも、

当時よりはずい分、雰囲気が優しくなったように感じた。

なんだか、このチームの指導をしていることが、とても楽しそうなのだ。

そんな五明コーチに、チームの状態についてお話をうかがってみた。

「東京での国体でやる東京チームの演技だから、

かっこいいものにしたかったんです。あかぬけた感じの。

今年からルールも変わったことだし、ダンス的なかっこよさをこのチームなら出せる、

出したいと思って、そこにはこだわりました。

ダンスの先生にも来てもらいましたし、曲も試行錯誤の末、ジャネット・ジャクソンの

ものにしました。作品はかなりイメージとおりに出来上がってきたと思っています。

あとは、彼女たちなりに仕上がって、本番でいい演技ができれば、東京のチームとして

満足してもらえるのではないかな、と思っています。

踊り心や表現では、魅せることができるんじゃないかと思います。」

 

そう語る五明コーチの言葉からは、「勝てる」という自信ではないのだが、

「東京らしい演技、東京らしいチーム」は、仕上げてきたという自信はしっかりと感じられた。

「能力がものすごく高いチームではないですが、雰囲気を出すことはうまい選手達です。

曲がかなり大人っぽく、セクシーなんですが、高浦の目力、笠井と阿部のもつなまめかしさ、

つややさかに、安藤の俊敏さ、岩元の力強さ、とそれぞれの良さが生きて、

黒豹のもつ妖しさを表現できてきたように思います。

今年のルールになってから、どのチームも表情もかなりつけてきていますが、まだちょっと薄かったり

表面的な印象があるように思いますが、その点では、このチームは強いです。

私はインターハイも見ていますから、ほかのチームも強いし、うまいことはわかっていますが、

東京チームにも彼女たちの良さがありますし、その1つである表情の豊かさはぜひ見てほしいです。」

五明コーチといえば、独創的な手具操作、連係などで、世界でも注目を集めてきた名匠だが、

今回の東京チームには、そういった見せ場は用意されているのだろうか。

 

「演技冒頭の10本のクラブをつないで輪を作るところや、同時投げでしょうか。

笠井の6本投げ、高浦の5本投げは、おそらく1回見ただけではどうやっているのかわからないかと

思いますが、かなり工夫をしていて空中でのクラブの回転までこだわっています。

あとは、演技終盤の男子新体操ばりの交差技ですね。とにかく、運動量の多い演技で

躍動感を出したいと考えているので、最後の最後まで攻める感じの構成です。」

さて、実際にその演技は、どんなものだったのだろう。

 

PHOTO by Ayako SHIMIZU   TEXT by Keiko SHIINA