2013全日本インカレ女子個人総合4位 清水花菜(日本女子体育大学)

2013全日本インカレ女子個人総合4位 清水花菜(日本女子体育大学)

 

今年のインカレでの清水花菜の最初の種目はボール。

それも試技順は2番とかなり早かった。

最後のインカレを迎える4年生にとって、早い試技順というのは、なんとなくイヤな感じではないのかな、

と少しばかり案じていたが、この1種目目・ボールの演技がかなりすばらしかったのだ。

もともと、美しい雰囲気をもった選手ではあるが、この日のボールの美しさには、凄みがあった。

どこまでも透明で、どこまでも純粋。そんな魂が透けて見えるような演技だった。

2種目目のフープは、ボールとは違って、もっと強さの見える演技。

パンシェが少し短かったか? と見えた気もするが、とんでもなく複雑な手具操作には

よどみがなく、ほぼ完ぺきといえる演技だった。

フープの演技からは、とにかく気迫があふれ出ていた。

 

もちろん、勝ちたいという気持ちもあっただろう。

最後のインカレでの優勝。それを目指せるだけの力はある選手だ。

それでいて、なかなか頂点に立つことがなあった選手でもある。

最後のチャンスに懸ける思いは、強かったに違いない。

だが、私には、彼女の全身にみなぎっている「気迫」は、優勝したいとか

そういったものとはどこか違っているように感じられた。

 

とにかく。

清水花菜の演技は、難しい。

難度も高いのだが、それはもうできて当然のこととされている。

そこに、手具操作がこれでもかと加わる。しかも、清水の操作は非常に連続性がある。

また、たとえば投げひとつとっても、動きの流れを止めずに、動きの中で行われることが多い。

難しい手具操作なのに、そこに神経を集中する、ということができない演技内容になっているのだ。

見ているだけでも疲れてしまう。

いったい彼女は同時にいくつのことを意識できるのだろうか、と感心してしまう。

こういう演技は、もともとの器用性が高い選手じゃなければ、なかなかできるものではない。

だが、器用性が高ければできるのかと言えば、そんなはずもない・

器用性のある選手が、気が遠くなるほどの反復練習をし、工夫をし、意識をし、努力に努力を重ねて

やっとできるものだと思う。

それでも、わずかに狂いが出ればミスも起きる。そんな演技を、清水花菜はしている。

 

しかし、インカレ1日目。

彼女の演技には、まるで神様が宿ったかのように、狂いがなかった。

そして、じつに思いのこもった演技だった。

小学校低学年のチャイルドのころから見てきた選手だ。

チャイルドのとき、演技冒頭で、かかとを高く高くあげたまま、ずっと止まって見せて驚かせてくれた選手だ。

あの小さかった「しみかなちゃん」が、大学4年生まで新体操を続けて、ここまできた。

そのことに感動してしまった。

 

2日目。

午後のリボン、2番目に清水花菜は登場したが、これが荘厳で気高い印象のノーミス演技だった。

ミスのおきやすいリボンだが、この日の彼女の演技にはなんらあやういところはなかった。

隅から隅まで、自分の思い通りにコントロールできているような、そこに至るまでの年月を感じさせる演技だった。

最終種目となったクラブで、ほんのわずかにミスがあった。

足でクラブを床に押さえるところで、すこしクラブがこぼれてしまった。

が、それ以外は、パーフェクトな演技だった。とうていノーミスでやれるとは思えないほど

アグレッシブな演技だが、それを彼女は、ほぼやり切った。

結果は、総合4位。

表彰台には、あと一歩届かなかった。

しかし、3日目の種目別決勝では、リボンで2位、ボールで3位を獲得した。

 

この選手を見ていると、こうしていつも「惜しい」ところにいるから、こんなに長い間、

こんなにひたむきに新体操に向き合ってこれたのかもしれない、と思う。

そう。

清水花菜は、長く頑張り続けることの価値を教えてくれる選手だ。

最後のインカレで彼女が見せてくれた渾身の4種目に、拍手をおくりたい。

 

PHOTO by Norikazu OKAMOTO  TEXT by Keiko SHIINNA