2013全日本インカレ 女子団体優勝「東京女子体育大学」

2013全日本インカレ 女子団体優勝「東京女子体育大学」

 

圧巻の演技だった。

インカレ女子団体優勝の東京女子体育大学の演技のことだ。

クラブ10、リボン&ボールともに、会場を支配するエネルギッシュな演技を見せ、両種目とも優勝。インカレ64連覇を達成した。

 

改めて当日のメモを見てみると、クラブ10では、東女にはミスがあった。落下1回、さらにちょっとしたクラブのとりこぼしがあったように見えた。幸いどちらも演技の流れを損なうような大きなミスではなかったが、減点にはなっているはずだ。

2位の日本女子体育大学も、サンバのリズムにのったスピーディーな演技を、非常によい出来でまとめた。交換での移動もほとんどなく、途中の4本同時投げなど、移動ゼロ。ラストのジャンプ前転しながらの足下からの3本投げなど、リスキーな見せ場もことごとく成功し、しいていうならばフェッテの終末にすこしずれたかな?というところがあった程度のかなり完成度の高い演技だった。

それでも、日女の得点は、15.166で、ミスのあった東女の16.016には及ばなかった。

 

こういった場合、どうしてもミスの数を数えてしまうと、「どうして?」と言いたくもなる。当事者ならなおさらそうだろう。だが、今回の演技に関しては、落下はあっても勝ち、を納得させるだけの力を東女団体が持っていたように思う。

大柄な選手を多くそろえた今年の東女は、とにかく演技にスケール感がある。立っているだけでも大きな選手たちがさらに大きくフロアマットいっぱいに広がって演技すれば、その迫力たるや、「これが日本のチームか?」と思うほどだった。

7月に行われたユニバーシアードでは、見事に総合3位、種目別では2種目とも2位を獲得したのも道理だな、と思わせるチームであり、演技だった。

 

2日目のリボン&ボールでも、その貫録と迫力に揺るぎはなかった。春先の試合では白のオールタイツだったが、ユニバーシアードで着たブルーのレオタードになっていたが、これがまた艶やかで、演技がいちだんと華やかに見えた。

選手たちは、フロアマットの上に、シェヘラザード姫の物語を描き切った。

東女の大応援団はもちろんのこと、今回の東女の演技には、会場中から大きな拍手がおくられていた。観客も、あれだけの演技を見せられれば、「これはすごい!」とわかるし、伝わるのだ。

今の東女団体の選手たちは、4年生が3人、2年生が2人、1年生が1人だ。

4年生は、北京五輪、ロンドン五輪でフェアリージャパンとして活躍した田中琴乃と同じ年。2年生は、ロンドン五輪のときから、フェアリージャパンにいるサイード横田仁奈や松原梨恵らと同じ年。チャイルドやジュニアのときに同じ土俵で戦っていたライバルたちと、途中から道が分かれていった、という経験をしている。高校生のときにはインターハイでも活躍し、大学に入ってからはインカレで東女の連覇をのばしてきたところで、「日本代表」は、別にいる、という状況でずっとやってきた選手たちだ。

「自分も五輪に出たかった」なんてことは、おそらく思っていないと思う。

彼女たちの世代はもう、小学生くらいから、「そこは別の世界」という感覚をもって育ってきているのだから。

 

64年間、インカレで勝ち続けている東女の歴史の中には、インカレでの勝利=日本代表だった時期も長い。そのころの東女は、名実ともに日本のトップだったのだと思う。

しかし、今はそうではない。

勝っても勝っても、「そこ」には届かなくなってしまった。

でも、だからこそ。

たとえ五輪ではなくても、国際試合ではなくても、自分たちが長い長い時間をかけてやってきた新体操を結実させたいという思いが強くなったんじゃないかと思う。

今の東女団体には、道端に咲くワイルドフラワーのようなたくましさがある。きれいにラッピングされていなくても、そこに咲いているだけで目を奪うような力強い輝きがある。

 

これは、「あきらめない者」だけが持つ輝きなんだろう。

 

そして、なによりも、今の東女を強くしたのは、近年たびたび東女をも凌ぐ存在となった日女。今大会ついに、3位まで上がってきた国士舘。今回はミスに泣いたが、東女にも迫る力を十分にもっている武庫川女子など、ライバル校の存在があると思う。

負け知らずだった時期の東女が失いかけていた、懸命さや必死さ、謙虚さなどを、東女は負けを経験することで取り戻したように私には見える。

ここ数年、苦しんでいる様子が見えた時期もあったが、それでも最後の命綱のような「インカレ連覇」を必死に守ってきたからこそ、今年の「強いチーム」が育ったように思う。

 

「世界」への道は限りなく閉ざされていても、それでも新体操を究めようとしているという意味では、所属など超越して選手たちは「同士」といえるだろう。そんな仲間たちと、一緒に、勝つこともあれば、負けることもある。

当たり前のスポーツの原理の中で、彼女たちは成長してきたのだ。

 

日本にも、こんなに美しくて強い、素敵な団体があるんだ、ということ。

それが本当に誇らしく、うれしい。

今回の東女団体は、そう思わせてくれるチームだった。

 

PHOTO by Norikazu OKAMOTO  TEXT by Keiko SHIINA