「新体操は表現するスポーツ」を体現するための動画を紹介!

正直な話をすると、女子の新体操は1998年あたりからかなり熱心に見てきたが、大きな大会では隣のフロアで行われていた男子新体操は、ほとんど見ていなかった。申し訳ないが当時はまったく興味がなかったのだ。見ればきっと惹かれる演技もあったのだろうとは思うが、そもそも見ていない。そんな状況が長く続いていた。

それが、2006年あたりから少しずつ変わってきた。ちょうど鹿児島実業がコミカル演技を始めたころでもあったが、それだけでなく、つい目に飛びこんでくるような演技が出始めたのだ。

当時、その筆頭にあったのが青森山田高校だった。

あのころの山田の演技は、本当にかっこよくて、男子新体操に対するイメージを一新するものだった。

とくに青森山田がインターハイで優勝した2009年あたり、「これは体操かダンスか?」などと物議を醸したりもしたが、それほどあのころの山田の演技は斬新でかっこよかった。そして、その存在が男子新体操そのものをぐっと垢抜けさせたと、私は思っている。

当時、青森山田でコーチを務めていたのが、現在は花園大学でコーチを務める田中直美さんだ。

「男子新体操なのに、女子のコーチ?」と当時は驚いたものだが、新体操経験者で長くダンサーとしても活動してきた田中さんの指導があってこそ、当時の革新的な青森山田の演技はあったのだな、と2010年に練習の取材に行くようになったときに知った。

そして、「男子新体操」でありながら、女性である田中さんの指導を素直に取り入れていた青森山田の先進性も、さすが! と感じたものだった。

2010~2012年の3年間、正直、私は女子の新体操以上に男子新体操に魅力を感じていた。それは、当時、難度に追われがちだった女子に比べると、男子の新体操のほうが動きが音に合っていて、表現を感じさせるものが多かったからだ。そして、それは、当時の選手たちの多くに田中さんの教えるアイソレーションが浸透してきていたこととも無縁ではなかったと、思う。

その後、2013年からのルールでは女子もステップが重視されるようになり、ぐっと芸術性が高まった。男子は逆に、2015年からのルールにより手具操作の比重が高まってきた。さらに女子は、2018年以降はさすがに忙しいすぎだろう? と思うほどに手具操作が重視されてきている。

とはいえ、男子でも女子でも、新体操が「表現するスポーツ」であることには変わりないはずだ。たとえルールがどうだとしても、演技の中でなにかを伝えよう、伝えたいという志があれば、きっとやりようはある。そのときに、頼れるのは「自由に動く身体」だと思う。

田中直美さんは、ずっと男子新体操を中心にそのことを教えてきた。が、今、この状況になり、みんなが十分に練習できず、演技を披露する機会も失ったたとき、なにが自分にできるかと考えて、この動画を撮影したそうだ。

ひとつひとつの動きが参考になることはもちろんだが、田中さんの元気いっぱいでお茶目なレッスンを受けているような気分になれるテロップの数々(的確なアドバイスなので見落とさないように!)。そして、クールダウンから動画終了までに流れる思いにあふれたコメントまで、見どころいっぱいの動画だ。

男子も女子も、もしかしたらダンスやチアなどやっている子にも、みんなに見てほしい、絶対に役立つ動画だと思う。

※田中直美さんの「おうちレッスン」 ⇒ https://www.youtube.com/watch?time_continue=316&v=OIAlc0b87Pw&feature=emb_logo

 

また、青森山田高校在籍中には、田中直美さんの指導も受け、2009年インターハイ優勝時のキャプテンだった祝陽平さんも、今日から数日間に分けて「表現力アップ」のトレーニング動画を公開するそうだ。

祝さんは高校卒業後、「白A」「はっくるず」など様々な場でパフォーマーとして活躍しながら、男子新体操の振付なども手掛けてきた。その表現力には高校生のころから定評があったが、長年のパフォーマー経験でさらに磨きがかかっている。

その祝さんが伝授する「表現力アップ」のためのトレーニングは必見だ。男子だけでなく、女子にとっても参考になること間違いなし。

祝さんが、現在、企画している新体操オンライン演技会ONEの公式YouTubeチャンネルで公開されるそうなので、こちらも要チェックだ!

※新体操オンライン演技会ONE公式チャンネル 

 ⇒ https://www.youtube.com/channel/UCBFNBiLbfgXBfGrxluqi78w?app=desktop

TEXT:Keiko SHIINA