RG AGAIN!~東川歩未プロデュース「Calendar」<前>

高校総体たけなわだが、かつては高校総体を目指していた、あるいは実際に高校総体に出場していた、そんな元新体操選手たちが、8月23日に行われるダンスイベントに出演するという。

「元新体操選手がダンスのステージに立つ」 そのこと自体はたいして珍しいことではない。
が、このステージに関しては、そのいきさつやメンバーがちょっと興味深い。
そこで、仕掛け人である東川歩未に話を聞いてみることにした。
 
東川歩未は、町田RG所属のときにはユースチャンピオンシップの初代チャンピオンになったこともある名選手だった。その後、初代のフェアリージャパンメンバーとして、2005、2006と世界選手権やワールドカップにも出場し、活躍してきたがフェアリーを卒業してからは新体操の現役を退いていた。その後、どう過ごしていて、また今回の企画を実施するに至ったのだろうか。
東川「新体操を引退してからは、仕事をしながらダンススタジオでレッスンを受けてましたが、スタジオをやめて、自分で振りをつくってダンスイベントに出演したりオーディションを受けたりしていました。 今では、ダンスのお仕事で声をかけてもらえることが多くなってきました。
そんな中で、今回のイベントにも作品を出してみないかという話があって、 以前から、こんな雰囲気の作品を作りたいなと思っていたものがあって、それには新体操の能力がいかせると思ったので、新体操経験者でダンスに興味がある人、やってみたい人、とSNSやつて頼って、募集をかけてみたんです。」
その結果、なんと9人もの出演希望者を集めることができた。それも、年齢も現在の職業も、新体操での所属も実績も見事なまでにばらばらのメンバーが集まってきた。
東川「身体能力的には他のナンバーには出来ないものを確実に見せられると思います。 雰囲気的には、皆仲良く楽しみながら練習しつつも、お互いのいいところを見て刺激を受けながら、向上心を持って練習してくれてると感じています。」
 
東川の呼びかけで集まってきたメンバーには、たとえば古城梨早がいる。
古城は、高校生のころには、東川といっしょに初代フェアリージャパンのメンバーだったこともある。その後は、東京女子体育大学でも新体操を続け、インカレなどにも出場していたが、現在は、新体操からは離れ、事務の仕事をしているという。
しかし、「ただもう一度、一緒に頑張った仲間と、大好きな新体操がしたかった。今回はダンスだけれど、踊る楽しさをもう一度感じたかった。」古城は、ただそれだけの理由で、出演を決めた。
 
 
現在は国士館大学の職員である大畑愛も、メンバーの一人だ。大畑は、「子どものころの夢が、ずっと舞台に立ってお芝居をする!でした。今回はお芝居ではないけれど、舞台の上に立って表現する事には変わりありません!声をかけていただいたのでいいチャンスだっ!と飛びつきました。」と笑う。
 
現在も新体操にはかなり近い場所にいる大畑だが、やはり「自分が踊る、舞台に立つ」ということに、まだ思いが残っていたのだろう。
 
 
大畑とは同級生で、中高生のころは同じ東京都の試合などでは競い合っていたアーネストRG出身の黒木優も、「舞台をやっている上で、常に「新体操をパフォーマンスに繋げたい。」という思いがあるので、今回この作品に出ることにしました。」と言う。黒木は現在も新体操の指導をする傍ら、ダンサー、パフォーマーとしての活動もしているそうで、その一環として出演を決めたのだそうだ。
 
 
黒木同様、現在もパフォーマーして活動している増井紬も、「色々な舞台に立って、ダンスのスキルやそれぞれの表現の仕方などをみて成長したかったから。」と参加を決めた。東京女子体育大学卒業後、すでに1年間、サムライロックオーケストラの舞台で重要なポジションを務めてきた増井だが、じつはダンスの経験はほとんどない。プロとして舞台に立っている以上、より向上したいという思いが、新たな挑戦に向かわせたのだ。
 
 
増井とは同級生の吉村優希は、駒場学園高校卒業までは新体操を続けていたが、その後は、大学でダンスをやっていた。大学卒業後は、ホテルや学生寮の運営会社・共立メンテナンスに就職し、1年間は新体操ともダンスとも縁遠くなっていた。しかし、私の原点は新体操です。jazzと新体操のコラボレーションでしか魅せられないものができたらいいな、と思います。」と、今回の企画で、ダンスへの情熱が再燃したようだ。
 
 
それぞれに仕事もあり、練習時間を捻出することは容易ではない。
東川を含む10人全員で練習できる日はめったにないの実状だが、それでも集まったメンバーは限られた時間を惜しんで練習に励んでいる。
新体操で培われた勤勉さや根性は、現役から離れて何年たっても彼女たちにしみついている。
そして、それはまぎれもなく彼女たちが「新体操を通じて得たもの」なのだ。
 
新体操を離れて何年かが経った今だから感じる「どんなときに、新体操をやってきてよかったと感じますか?」という質問をみんなにぶつけてみた。
 
古城「新体操を通じて貴重な経験をさせていただいたこと。今まで関わった全ての方に感謝しています。」
大畑「恩師、仲間の存在の大きさを感じるとき、新体操のおかげで出会えたのだなと思います。」
黒木「普段の生活から感じています。言葉遣いや礼儀、作法も新体操を通じて学んできたので。」
増井「常に感じています。新体操をしていなかったら、今ここにいないから。」
吉村「職場の人に所作が美しいと褒められたとき、日頃の振る舞いと演技が繋がっていたんだなと実感しました。悩んだり、立ち止まったときも、新体操で辛い練習を乗り越えたという自信が何より心強いです!」
 
本当は、誰にも多かれ少なかれ「新体操なんて!」と思った時期もあるだろうと思う。
それでも、時間がたてば、たいていは「感謝している」と言えるようになり、「また踊りたい」と集まってくる。
それが不思議な気もするが、それはとても嬉しいことだ。
 
そんな「踊るのが大好き!」なメンバーたちの練習ぶりを取材させてもらえることになった。
出演メンバー残り4人は、その練習レポートのほうで紹介したいと思う。
(「RG AGAIN!~東川歩未プロデュース「Calendar」<後>」に続く)
 
TEXT:Keiko SHIINA