「Pioneer(パイオニア)」 ~AGGで、新体操の可能性を広げる~

4月20日、日本女子体育大学にて、「Aesthetic Group Gymnastics(AGG)」のチルドレンルール講習会とTeam JAPANの試技会が行われた。

「AGG」とは耳馴れないかもしれないが、ロシアや北欧を中心に行われている体操競技の1種で、「手具は使わない団体徒手」の競技だ。日本ではまだ馴染みがないが、ワールドカップや世界選手権も行われており、世界選手権は今年で15回目。ヨーロッパ圏ではなかなかの人気なのだそうだ。

 

日本でのAGGは、まだ歴史が浅い。日本女子体育大学新体操部がチームを組み、昨年2月にエストニアで行われたミスバレンタイン杯に出場。同5月には世界選手権にも出場し、見事予選を突破。奨励賞を受賞するなど、幸先のよいスタートを切っている。

日本女子体育大学の石崎朔子教授のもとには、「ぜひ日本でAGGを普及してほしい」「AGGの四大陸大会を開催したい」という協力要請も寄せられおり、現在、日本でAGGの連盟発足準備委員会を立ち上げて活動を始めているところだという。

 

その一環として、今回は、「チルドレン(8~14歳)ルール講習会」と試技会を行うことになったとのこと。講習会では、AGG競技の基本的なルール講習を、海外のチームの動画を見ながら行い、受講者は「AGG」という競技のおおまかな概要は理解できたのではないか。

受講者の中には、現役の選手たちも交じっており、新体操と似ているが異なるこの目新しい競技についての講習を興味深そうに聞いていた。

 

講義のあとでは、体育館に会場を移して、5月1~3日にトロント(カナダ)で行われる第1回の四大陸大会に出場する日本女子体育大学チームと、4月25~27日にヘルシンキ(フィンランド)で行われるワールドカップファイナルと、5月23~25日にモスクワ(ロシア)で行われる世界選手権に出場するナショナルチームによる試技会が行われた。

 

【日本女子体育大学チーム】

横井麻衣、趙秋華、大月美輝、太田優希菜、荻原さつき、佐々木麻琴、豊間栞奈

 

どちらのチームの演技も、非常にすばらしく、「AGG」という競技の魅力と可能性を十分に感じさせてくれた。新体操で培ってきた能力や技術も生かすことができ、さらに「表現」という面では新体操以上の可能性もあるようにも思えた。

新体操と並行して行うこともでき、バレエやダンス、体操からの移行などにも対応できそうなAGGの今後には、おおいに期待がもてそうだ。

 

AGGの連盟準備委員会の代表である石崎先生は、「AGGは、新体操に比べると、いい意味でアバウトなところがいいと思っています。チームの人数も6~10人と幅がありますし、いわゆる難度の見極めも、新体操ほど厳密ではありません。今の新体操は高度化しすぎて、どんどん限られた人だけのスポーツになりつつあるので、AGGのような間口の広さをもった、それでいて新体操と同じように美しいスポーツは、いいなと思うんです。」

と語る。

「まだ準備委員会もできたばかりですが、日本でのAGGの普及をはかっていきたいと思います。今回のナショナルチームも、昨年12月にオーディションを行い、日本女子体育大学の学生に限らず編成しました。準備委員会にもさまざまな大学、立場の人がかかわっています。学閥とか派閥とか抜きに、できれば多くの人たちから賛同される形で、AGGを広めていければと思います。

 やらなければならないことはたくさんあって、審判、選手、指導者、振付師などこれから育てていかなければなりません。先ほどのチルドレンルール講習の際にも、参考にできるような規定演技があればいいという意見も出たりしているので、そういった普及をサポートする体制も整えていく必要があります。

 ただ、せっかく新体操の裾野がこれだけ広くなったのだから、みんなにとって選択肢がいろいろあったほうがいいのではと思いますし、AGGという競技には、日本も勝負できるのではないかという可能性もおおいに感じています。後に続く人たちのためにも、私は、とにかく、AGG普及の土台作りを、今、やっておきたいと考えています。」

 
●清水花菜(ナショナルチームキャプテン)コメント

「私自身、AGGの大会に出場するのは今回が初めてなので、どう評価されるかはまったく予想がつきませんが、ワールドカップでファイナルに残ることと、世界選手権では入賞を目指して、精いっぱい頑張りたいと思っています。

 AGGは、手具がないので新体操よりも表現できる面もありますが、手具に助けてもらえない部分もあって、自分の足りない面を痛感します。蛇動やなめらかな動きなど、新体操の難度ではない部分は、まだまだだと思います。

 でも、全員で1つのものを演じる楽しさ、表現する楽しさは、感じています。そして、世界選手権という舞台に、こういう形で立てることも、嬉しいですし、感謝しています。」

 

【ナショナルチーム】

清水花菜、中澤歩(日本女子体育大学大学院)、濱口春菜(東京女子体育大学OG)、真形萌子、吉江晴菜、成重亜美、下野なつみ、植田奏子、氏家美季、紀平萌(日本女子体育大学)

PHOTO & TEXT  by Keiko SHIINA