「Machida Spirit」~町田RG(東京都)

昨年は全日本ジュニア団体5位の町田RG。

それ以前も、2011年から団体では全日本ジュニア連続出場。

2012年には2位、2014、2015年は4位と団体では高値安定の成績を残している。

 

「全日本ジュニア」は、ほとんどのジュニア選手にとっては「一度は出たい夢舞台」だ。

そこに毎年のように駒を進め、頻繁に入賞しているのだから、町田RGは押しも押されぬ強豪クラブには違いない。

が、不思議なくらい今の町田RGには「強豪らしさ」がない。

全日本ジュニアを1週間後に控えた9月30日に見た練習でも、彼女たちはまるで「全日本ジュニア初出場」のチームのような初々しさと懸命さで練習していた。

昨年は5位。今年こそは優勝! などと目標を掲げてもよさそうなものだが、そういう気配はない。

 

決して、弱いチームではない。

ただ、チームとしてのスター性がない、とおそらく本人たちもわかっている。

スーパーモデルのような体型の選手もいなければ、ローテーションでぐるぐる回り続ける選手もいない。

驚くほど柔軟性のある選手がいるわけでもない。

その代わり、少なからず身長差もあるのにもかかわらず、ものすごい一体感のあるチームであり、演技だった。

スター性がないだけに、自分たちはどう戦うべきなのか、を知っている演技であり、練習ぶりだと感じた。

全日本ジュニアに出場するレベルの団体ならば、「そろっている」「ミスがない」は当然かもしれない。

が、町田RGの団体は、その当たり前のことをとことん突き詰めた演技をしようとしていた。

さらに、一人一人の動きに、活力がある。それは気持ちの問題もあるのだろうが、全身によい意味で力が入っているのだと思う。

特別難しい技ではなくても、さりげない動きのひとつでも、彼女たちのチームには「正しい形」があり、みんながそれに揃えようとする。

動き始めから終わりまで、その動く過程までも揃えようとしている。

ボールならば片手キャッチ、ロープならばその張りや軌跡、手具の動きにもこだわる。

すごい素質をもった選手じゃなくても、努力を重ねればできること、を町田RGはとことん追求する。

町田RGは、昔から強いクラブだった。

今よりももっと個人でもきらめくようなスター選手たちがひしめいていた時期もあった。

そんなスター選手たちも町田では団体をやっていた。それも、みんなじつに楽しそうに、「団体が好き」でやっている様子だった。

昔も今も、町田の子たちの「団体好き」は変わらない。

だから、以前のようなスター選手はいなくなっても、町田の団体は変わらずに強い。

1人1人は、飛び抜けた選手ではなくても、チームとしての完成度の上げ方を知っているのだ。

ことジュニア選手に関しては、それはもっとも大事なことではないかと思う。

「素質に恵まれた子だけに夢を見るチャンスがある」のではなく、誰もが正しい努力をすれば、夢をかなえられる可能性があるのだ、と体感できることは、人生にとって大きな財産になる。

ここ数年の町田RG団体を見ているとそう感じるのだ。

聞いてみたら、今年の団体メンバーは、ほとんどが2016年3月に行われた「アジアジュニア代表選考会」に出たときのメンバーなのだという。

2015年の全日本ジュニアで団体4位になり、代表選考会の出場権は得たものの、全日本ジュニアのときのメンバーはほとんどが中3だったため、アジアジュニアの出場資格がなく、選考会には、全日本ジュニアとはまったく違うメンバーで出ることになってしまったのだ。

まだ、全日本ジュニアの舞台さえ踏んだことがなかった選手たちがいきなりの代表選考会に挑んだのだから、惨敗も予想されたが、あのときの町田RGは、1回目の試技ではすばらしい演技を見せ3位につけた。2回目の試技ではミスが出てしまい、代表には届かなかったが、「このメンバーでやるの?」と言われていたチームとしては大健闘だった。

そして、そこをスタートにして、このチームは、昨年の全日本ジュニア5位まで上がってきたのだ。

代表選考会出場という、傍目には「無理」と思われる挑戦も果敢にやってきた選手たちだからこそのたたき上げの強さを彼女たちはきっと持っている。

「普通の子たち」でも、強いチームになれる。

それが町田RGの真骨頂だ。彼女たちはその町田の遺伝子をしっかり受け継いでいる。

「Machida Spirit」は、「あきらめないこと、全力でやること、そしてみんなで強くなること」。

全日本ジュニアでも、その一体感あふれる、弾けた演技をやり切ってほしい。

どこまでも町田らしく。そんな演技が見たい。

そうすれば、たとえ順位がどうだったとしても、多くのジュニア選手たちに希望を与えるに違いない。

また、昨年は、久しぶりに全日本ジュニアに個人選手が出場できなかった町田RGだが、今年は、団体メンバーの中の2人、山田朱音と榊原葵が個人でも出場する。

この日も、たっぷり団体の練習をしたあとに、2人は個人の通しをやっていた。

●山田朱音…くるくるとよく変わる表情がチャーミングな選手。動きのキレもいい。

どちらかというと団体メインの練習なんだろう、という感じはあったが、団体をがっつり練習しているうちに、なぜか個人もうまくなるのがジュニア選手だ。彼女たちも例外ではない。

正直言って、まだ「スター選手」の風格はないが、少しずつその片鱗は見えてきたような、そんな気がする2人だ。

なによりも今は、団体に個人に、全身全霊で取り組んでいるその一生懸命さが胸をうつ。

●榊原葵…やや大柄で大人っぽい雰囲気。種目によってがらりと違うイメージで見せられる選手。

2人の個人にもぜひ注目したいと思う。

PHOTO & TEXT:Keiko SHIINA