日本女子、個人総合も大健闘!~寺本明日香(個人総合9位)

男子体操悲願の「団体金メダル獲得」にわいた世界選手権。

その翌日に、女子個人総合が行われ、日本からは村上茉愛(予選10位)、寺本明日香(予選21位)が出場した。

日本の女子は、今大会では団体総合5位と、2010年ロッテルダム大会以来の好成績を残し「のっている」状態ではあった。

 

しかし、正直、個人総合となると。

予選順位から考えても、このところの世界選手権での日本女子の実績を考えても、「大きな期待はできない」と考えていた人が多かったのではないだろうか。

本人たちにとって納得のいくよい演技ができれば十分だよ。

団体の5位だけでもよく頑張ったからね。

そんな風に思っていた人も多かったはずだ。

 

ところが。

選手たちの気持ちはもっと強く、見つめているところはもっと高かった。

彼女たちはその演技で、自らの志の高さを証明して見せた。

昨年の世界選手権個人総合では18位だった寺本明日香は、今回は予選21位で第4班(予選19~24位。ゆかからのスタートだった。

スタート種目ゆえの堅さがあったのか、寺本の演技にはやや不安定さがあり、ラインオーバーも犯してしまう。大過失こそは免れたが13・366。1種目目終了時の順位は20位となるやや苦しいスタート。

しかし、それで気落ちするというよりも、挽回しようと燃える強さをもっているのが寺本だ。続く跳馬では、団体総合では封印していた「チュソビチナ」に挑戦し、見事に着地までまとめ15・166のハイスコア! これで2種目終了時の順位が一気に9位にジャンプアップ。

寺本は、段違い平行棒も、団体決勝を彷彿とさせる見事な演技で14・366をマーク、3種目終了時には、総合5位まで順位を上げ、最終種目の出来、他の上位選手の出来次第ではメダルの可能性もあり、という位置につけた。

最終種目の平均台でも、縮こまることなく攻めの演技を見せ、かなりいい印象だったが、最後の最後、着地でふらつきしりもちをついてしまう。この減点が大きく響き、平均台の得点は13・233。少なくとも入賞はほぼ手中にあった寺本だが、この最後の着地で9位まで後退してしまった。

演技後のインタビューでは、こらえきれず涙も見せていた寺本。責任感が強く、ストイックな彼女のことだ。かなり悔しい思いをしたことと思う。

それでも予選順位が21位だったことを思えば、大健闘と言えるし、4種目のうちゆかと平均台ではミスが出ていることを思えば、それでも9位という順位は、それだけ寺本の演技に対する評価が高かったということでもある。

寺本明日香は、じつに学習能力、自己分析能力が高く、そして、負けず嫌いだ。

今の悔しさは、また寺本を大きく成長させるだろう。今までがずっとそうだったように。

TEXT:Keiko SHIINA   PHOTO:Yuki SUENAGA/Yuu MATSUDA ※国内大会のもの