第6回体操アジア選手権~男子団体&個人総合

日本男子、団体、個人ともに磐石の金! 
 
体操アジア選手権2日目は、男子団体、個人総合が行われ、日本は団体で金、個人総合では加藤凌平(順天堂大)が優勝、準優勝に田中佑典(コナミスポーツクラブ)が入るという圧倒的な強さを見せつけた。
 
本来は、10月に行われる世界選手権と同じメンバーで臨む予定だったこの大会だが、主軸の内村航平(コナミスポーツクラブ)が肩の疲労感から欠場。さらに初の代表入りとなった長谷川智将(日本体育大)も足の骨折で欠場を余儀なくされ、補欠の山室光史(コナミスポーツクラブ)、早坂尚人(順天堂大)を入れたメンバーでの大会となった。
 
 
しかし、早坂は、ゆかで16.150、鉄棒でも15.300という高得点をマーク、山室も得意のつり輪で15.300というこの種目での最高点をたたきだしたうえ、平行棒では新技も成功させ15.450という得点をマークする、など代替メンバーも十分に力を発揮。
 
 
さらに、大学1年生コンビの白井健三(日本体育大)は、ゆかで高難度が高難度に見えないほどの完璧な実施で、16.800という驚異の得点を記録。
 
 
シニアでの初代表となった萱和磨(順天堂大)も、得意のあん馬で種目別トップの15.450をマーク、さらに平行棒でも15.450と高得点を重ね、6種目に出場し90.100という全体の3位にあたる得点を出した(個人総合は各国上位2名までが表彰対象となるため、萱は順位外となる)。
 
 
「90点を超えたのは初めてで自信がついた。あん馬だけでなく個人総合でも戦えるということを示せたと思う」という萱は、6種目中4種目で第1演技者を務めたが、いずれも素晴らしい演技を見せるなど、抜群の安定感を見せた。観戦していた内村も、「和磨の強さが目立った大会だった」と大会後にコメントするほど、その存在は大きかった。
 
 
また、個人総合を制した加藤も、今大会ではあん馬、つり輪、鉄棒で難度を上げる挑戦をした中で、大過失なく6種目をまとめての優勝ということで喜びもひとしおだったようだ。とくにG難度のカッシーナを組みこんだ鉄棒では15.750という今までにない高得点をマークし、「世界選手権までにはコンスタントに15点台後半を出せる選手になりたい」と語った。
準優勝の田中も、ゆかでこそ ミスはあったが、その後の種目はすべて落ち着いてまとめ、内村に代わるチームリーダーとしての役目をしっかりと果たした。
 
 
結果、チーム得点では、2位の中国に16.2という大差をつけて余裕の金メダル獲得。試合後に内村からは、「世界選手権ではこんなにうまくはいかない。でも、そのことはみんなわかっていると思う。」と、気持ちを引き締める発言も出た。地元開催、中国もベストメンバーというわけではない、など、たしかに今大会は、日本に有利な点も多かったことは否定できないが、10月の世界選手権に向けて、いい弾みがついたことには違いない。
 
なんと言っても、本来のメンバーから2人が代わっても勝てる層の厚さを示せたことや、初代表の萱、早坂の活躍 、山室の復活など、明るい材料も多い。
この勢いで、まずは世界選手権での団体金を確実に獲り、来年のリオ五輪に繋げてほしいものだ。
 
PHOTO:Norikazu OKAMOTO/Naoto AKASAKA     TEXT:Keiko SHIINA