第68回全日本体操種目別選手権予選(男子)レポート

●ゆか

 首位スタートとなったのは、15.550をマークした加藤凌平(順天堂大学)、2位には15.500の早坂尚人(順天堂大学)が入り、順天堂大のワンツーとなった。加藤、早坂ともに、いい意味で力の抜けた実施でうまくまとめ、危なげなかった。タンブリングはやや難度を落としたように見える部分もあり、決勝ではさらに攻めた演技を見せてくれそうだ。

 3位には、スピード感とキレのある演技で、着地も吸い付くように決まっていた谷川航(船橋市立船橋高校)が、15.350で入った。4位は、15.300の白井勝太郎(コナミスポーツクラブ)、5位には15.000で池尻俊弥(日本体育大学)が入った。

 6位には、白井健三と同じ岸根高校の内田龍真(県立岸根高校)が14.900で入り、決勝進出の8名中3名(白井健三、谷川航、内田龍真)が高校生となった。なお、ゆかは内村航平(コナミスポーツ)と白井健三がシード選手となっていたが、内村が棄権となったため、繰り上がりになり、7位の佐藤紘翔(早稲田大学)までが決勝進出となる。

 

●あん馬

 予選で首位となったのは、14.950をマークした長谷川智将(日本体育大学)だったが、この日は、長谷川のトレードマークの演技後のパフォーマンスも控えめになるくらい、本人としては「抑えた演技」だったようだ。落下などの大きなミスはなかったが、本来の力を出し切れば、15点台には十分にのせてくる力はある選手だ。明日の決勝では、派手なパフォーマンスが飛び出すくらいの攻めの演技で、種目別選手権あん馬での連覇を期待したい。

 2位には、しっかりと演技をまとめて14.800の加藤凌平。3位には、岡準平(日本体育大学)が14.750で入り、4位は、古谷嘉章(仙台大学体操競技部)が14.700で入った。

 5位に入った前野風哉(船橋市立船橋高校)は、まだ高校生だが、14.650というハイスコアをマーク。同じ高校生であん馬での決勝進出が期待されていた萱和磨(習志野高校)が、今回は落下で順位を下げてしまったが、高校生として気をはいた。6位の大川翔平(仙台大学体操競技部)のあん馬は、同じ仙台大学の先輩であり、昨年度世界選手権でのあん馬金メダリスト・亀山耕平(徳洲会体操クラブ)を彷彿とさせる美しいつま先、大きな開脚度が印象的だった。7位の今井裕之(コナミスポーツクラブ)までと、シード選手の亀山耕平を加えた8名が種目別決勝に進出する。

 

●つり輪

 出場者でただ一人、15点台をマークして貫禄を見せつけたのが山室光史(コナミスポーツクラブ)で、15.250は、2位に0.4差があった。

 2位には、14.850の武田一志(日本体育大学)が入り、3位は、気迫十分の演技を見せた小林研也(コナミスポーツクラブ)が14.800で入った。

 14.750で並んで4位となったのは、長野託也(日本大学)と神本雄也(日本体育大学)だが、2人ともがっちりとしたいかにも「つり輪」体型で、重力を感じさせないよくコントロールされた演技を見せた。6位は、先月のNHK杯で2位となり、世界選手権初出場を決めた野々村笙吾(順天堂大学)、予選での演技は、着地でやや大きく後ろにはねてしまったが、決勝ではより精度の高い演技が見られそうだ。

 7位・村上雄人(仙台大学体操競技部)、8位・田中康久(相好体操クラブ)までが、種目別決勝に進出する。

 

●跳馬

 非常に面白い顔ぶれとなったのが跳馬だ。

 首位発進となったのは、まさに「あん馬のスペシャリスト」である小倉佳祐(早稲田大学)。昨年の全日本種目別に続いての連覇はなるか。

 2位には、世界でも跳ぶ人があまりいないというD6.8の「リセガン」に挑戦し、見事に決め15.700をたたきだした鈴田佳祐(福岡大学)。力強く高さのある雄大な跳躍は、予選でも会場を沸かせていた。3位の佐藤巧(徳洲会体操クラブ)も予選で、1本目をしっかり決めて、15.300をマークしている。跳馬はかなりハイレベルかつスリリングな戦いになりそうだ。

 4位・齊藤優佑(徳洲会体操クラブ)も予選1本目は「ヨーⅡ」で15.300をマーク、5位には日本体育大学のルーキー・田浦誠也(日本体育大学)、6位には岡準平が入った。

 7位の白井勝太郎も、1本目は14.950と、15点台にのせる力はもっている。8位・宗像陸(相好体操クラブ)は、持ち味であるパワフルで高さのある跳躍で魅せてくれるだろう。

 

●平行棒

 今大会の予選でもっとも気力充実した演技を見せたのは、田中佑典(コナミスポーツクラブ)ではなかったか。じつに7位までが15点台というハイレベルな戦いを、田中が気迫の演技で制した。減点しどころがほとんど見つからないすきのない実施で、15.450をマークして首位発進となった。

 2位には、平行棒を得意とする野々村笙吾が、ほぼ完璧な演技で15.300と続き、3位はつま先を伸ばしたときのラインが美しい石川大貴(順天堂大学)が15.200で入った。

 4位には、桑原俊(朝日生命)と柴田快輝(順天堂大学)が15.150で並び、微動だにしない倒立の安定感がすばらしい神本雄也が、15.100で6位になった。平行棒は、内村航平がシード選手になっており、本来なら7位の山本翔一(朝日生命)までが決勝進出となるが、内村棄権の分が繰り上がり、8位の萱和磨(習志野高校)も決勝に出場できる。

 

●鉄棒

 田中佑典の快進撃は止まらず、鉄棒でもブレの少ない正確性の高い演技で、15.200をマークし、こちらも首位発進かと思いきや、山本雅賢(徳洲会体操クラブ)が、それを上回る気迫の演技で15.300をたたきだしており、山本が首位、田中は2位での予選通過となった。

 3位は、岡準平の15.100で、岡はあん馬、跳馬に続いて、鉄棒でも決勝進出を決めた。4位の植松鉱治(コナミスポーツ)は、落下などのミスなくまとめ、15.050だったが、見せ場である連続のはなれ技などを予選では封印。決勝では、世界選手権の派遣標準得点である16.200超えを狙って自己最高難度の演技に挑戦してくれるだろう。

 14.900で5位に山崎塁(朝日生命)と鈴木大介(順天堂大学)が並び、7位には、14.850の神本雄也が入った。神本も、つり輪、平行棒に続いて3つ目の決勝進出となり、日本体育大学の勢いが感じられる。さらに、シード選手だった内村航平分が繰り上がり、同点8位の桑原俊(朝日生命)と長谷川智将のどちらかが決勝進出となりそうだ。

 

※すでに日本体操協会の公式サイトに、詳細レポートがアップされています。技名などは、ぜひこちらでご確認ください。同サイトに決勝の試技順も追ってアップされるようです。(7月6日午前8時現在まだアップされていないようです)以下にリンクをはっておきます。

http://www.jpn-gym.or.jp/artistic/%e7%ac%ac68%e5%9b%9e%e5%85%a8%e6%97%a5%e6%9c%ac%e4%bd%93%e6%93%8d%e7%a8%ae%e7%9b%ae%e5%88%a5%e9%81%b8%e6%89%8b%e6%a8%a9%e5%a4%a7%e4%bc%9a%e3%83%ac%e3%83%9d%e3%83%bc%e3%83%88