第53回NHK杯/男子個人の見どころ

6月8日。
NHK杯男子個人総合が開催される。
 
この大会のみどころは、なんといっても世界選手権の代表争いだろう。

このNHK杯で世界選手権の代表6人のうち、半分の選手が決まる。といっても、内村選手は内定済み。残りの2枠を35名で争うのだ。
 
有力候補はやはり順天堂大学の加藤・野々村の2名。
加藤選手は昨年の世界選手権で個人総合2位という好成績を残し、体操界を引っ張るエースだ。しかし、先月行われた全日本選手権では怪我の影響もあり少し出遅れた。本人は大変悔しそうにしていたので、今大会はしっかり決めてきそうだ。
 
 
野々村選手は、世界で何度も活躍する加藤選手に対し、オリンピックも世界選手権も後一歩のところで代表を逃してきていた。
がしかし、全日本選手権では絶好調だった。今までも加藤選手と2番手争いをしていた選手なのだが、怪我などに悩まされて、決定力に欠けていた。ただ、今シーズンの彼は何かが違っている。いつも以上に光っている。コンディションも悪くないようなので、やっと、世界選手権の切符に手が届きそうだ。
 
 
世界選手権の代表は、個人総合枠で3名、種目別枠で3名の計6名。このNHK杯では個人の3名が決まる。
そのうち内村選手は確定しているので、つまりNHK杯では個人の2名が決まる。
その選考基準は、5月に行われた全日本個人総合選手権の得点も採用される。
[全日本2日間の合計の1/2の得点]+[NHK杯の得点]=NHK杯順位で決まるのだ。
(詳しくは先日の選考基準レポートhttp://gymlove.net/gl/topics/2014/05/08/post-38/へ)
 
全日本選手権では若手の活躍が目立ったが、その分ベテラン勢はスロースタートとなった。
特に初日は、いつも上位を独占しているKONAMIの選手たちにミスが続く結果となり、逆に高校生が大活躍を見せた。しかし、2日目はそのベテラン選手、世界選手権代表経験者たちは挽回をしてきていた。やはりそういったところは試合数を経験している差だと感じた。
その選手たちが、このNHK杯でどれだけ力を発揮してくるか、ということろもみどころのひとつだ。決して代表争いは全日本の上位だけとは限らないのが面白い。
なぜなら、全日本選手権の得点は2日間の合計が半分になるからだ。つまり全日本選手権2日間の平均得点。
現時点3位の加藤選手の持ち点は88.675、12位の同じく順天堂大学の金子選手の持ち点は86.725。この差は10人で1.95点差。それだけ接戦ということだ。
 
そして、全日本でベテラン勢が伸び悩んだ分、大学生や高校生の活躍がめざましく、彼らも積極的に代表争いに絡んでくると予想される。そういった意味でもいつもとは違った勝負が見れそうだ。
 
また、種目別狙いでNHK杯にも出場する選手にも注目したい。
種目別選手権の結果だけで代表が決まらなかったときには、このNHK杯の得点も選考対象となるため、できるだけミスはしたくないはずである。
 
今回の代表争いは、ベテラン勢、若手選手ともにいつもとは違った空気が流れているので、そこが一番の楽しみだろう。

どういった結果でも、各選手納得のいく演技ができることを願う。
 
TEXT:Gymlove編集部

PHOTO:Norikazu OKAMOTO / Izumi YOKOTA(※2012、2013のもの)

 

【参考記事】

●2012団体選手権・種目別選手権「プロローグ(野々村笙吾)」

http://gymlove.net/gl/topics/report/2012/11/10/post-1/

●2013NHK杯「ふたり(加藤凌平&野々村笙吾)」

http://gymlove.net/gl/topics/report/2013/06/11/52nhk23/

http://gymlove.net/gl/topics/report/2013/06/13/52nhk23-1/